源流は「教育評価学」 デザインマネージャーのマネジメント哲学とは
カミナシnote編集部です!今回はプロダクトデザインマネージャーのもってぃさん(note)へ、インタビューを実施しました!
インタビュイーは、プロダクトデザイナーのべっちからお送りいたします。
本記事は、
カミナシのプロダクトデザイン組織ってどんな人がマネジメントしているの?
同じデザインマネージャーとしてどういうマネジメントをしているか気になる!
のような方向けに投稿しています。ぜひお楽しみください!
ご紹介
起業や新規事業立上げ等を経て、前職のChatwork(現kubell)からここ数年はインハウスのデザインマネージャーに注力している。モットーは「餅は餅屋」と「とりあえずやってみる」。HCD-Net認定人間中心設計専門家。
カミナシに来るまで編
— 本日はよろしくお願いします!はじめに、カミナシのプロダクトデザインマネージャーになるまでを教えてください。
マネジメントを始めたのは、約18年前からです。今カミナシでも実施している「通知表」や「スキルテーブル」は、オムロンエンタテインメント社に勤めていたときからアップデートしながら運用しています!
— ええ!18年前から運用なされてるんですか!?
そうですそうです。原型はとどめてないけど、考え方は継承しています。
— 所属する企業が求める人材像や、時代の流れに合わせてアップデートしている形でしょうか?
そうですね!
— もってぃさんは人間中心設計専門家の認定資格もお持ちで、コンピタンスマップもご参考にされながらスキルテーブルを作ってらっしゃると想像してます。そのへんが今のスキルテーブルに合流してきたタイミングはいつ頃からですか?
あれは前職からですね。
ソフトスキルとハードスキルの枠組みは作ってあったので、前職時代にスキルテーブルとして作り直しました。デザイン組織の中に新規の専門チームを作りたいと考えて、そのために必要なスキルセットを整理するために活用しました。結果チームを発足できました!
— てっきりマネジメントの源流は人間中心設計なのかなと思っているのですが、18年前から運用されているとなると…もっと前に源流があるということですよね。改めて何がマネジメントの源流でしょうか?
大学で出会った「教育評価学」という考え方がベースになっています。
現在地をちゃんとお互いに理解をして、だから目標はこうしようという納得の上の合意をする。現況理解のうえで進めるので人間中心設計とも似通っていますよね。
— 確かに人間中心設計的に事を観察して次を考えていく流れと似ていますね。
そうなんですよね。よくできてるなーと思います笑 誰目線やねんという感じではありますけども笑
— 時系列で考えると、教育評価学 → 人間中心設計、という流れなのですね。他にも何か、今のマネジメントの考え方の源流になっていることはありますか?
この業界に来る前に従事していた「カウンセラー」の仕事の経験はよかったなあと思っています。
一次情報の中のどこが大事なのか見極めた上でクライアントの特性を紐解いていく作業があるんですが、そのへんはいきてるのかな… よくわかんないですけどね!笑
— 確かに私も1メンバーとして、もってぃさんってなんでも真摯に聞いてくれるなあと感じます!
「目の前の人のことを知りたい」という気持ちが一番ですけどね!好奇心のままに、知りたいから聞いているというか笑 頑張っている感じでもないんです!
— たしかに「目の前の人のことを知りたい」という気持ちって、教育評価学・人間中心設計・カウンセリングすべてに通ずる感情ですね!
ほんとですね!さすがよく気づいてくれました・・!笑
— では最初の源流は、教育評価学なのでしょうか?
そうですね!でも実は、大学の頃は研究室に入るまでアルバイトしかしてませんでした笑
でも研究内容にはすっごくハマりまして。私が書いた卒論はざっくり言うと「えこひいきの統計学的立証」です!
とある大学教授の講義について技能と性格特性両方を質問紙法で評価してもらって、数千サンプルを集めて分析しました。「性格が好きだと技能評価も高くなっちゃうよね」「やっぱりえこひいきってあるよね」が数値的に立証できたよというやつです笑
— すっごく面白い立証ですね!完璧に公平な評価って人間がすることは難しいんですね… 社会人でもありますもんね…
特に私たちのような職種だと、営業などのように数字で結果が見えづらいという特性もあるので、余計に評価が難しいですよね。
— それは確かにマネジメントするうえでつながりますね..!
カミナシのプロダクトデザインマネージャーになってから編
— もってぃさん2月にご入社されて今.. 8ヶ月とは思えないぐらいのご貢献だと思っています。入社してやったことの中で思い入れがあるものは何ですか?
プロダクトデザイナー全員の特性を知る「コンピテンシーマップ」ですね。みなさんのことを何も知らない状態でマネージャーとして入ってくる訳なので、まずはなるべく早く皆さんの特性を知りたい!と思って、ひらめきに任せて作成しました。
よくある「Can」「Will」「Must」に「イマイチ」という苦手意識のあるジャンルを指す項目を作りました。
皆さんの得意領域や苦手領域を知ることで、アサインやスキルアップの方向性を検討するための土台が作れました。
作ってはみたものの、ちゃんと運用に乗るのかわからなかったんですが。みんなちゃんと想定以上のマップを作って来てくれて「めっちゃできる人たちだ」ということもわかったし笑、おおよその様相もスピーディにわかりました。やってみてよかったと思っています。
— 結構早い時期に実施されてましたよね。いつ頃でしょうか?
実は、入社する前に閃いちゃって、コンピテンシーマップの枠だけ作ってたんです。
なので、入社して速攻みなさんにお願いしたと思います。2~3月あたりかなあ?
— やってみてよかったこと、他にもありますか?
チームとしてのケイパビリティがわかりましたね。どの象限が充実しているか、反面弱い象限も可視化できました。
チームとしてのケイパビリティがわかることで、採用活動にも活きています。
今後の事業展開とチームケイパビリティマップを突合することで、必要なスキルセットを把握しやすいので、JD作成や採用計画の土台を作れたと思っています。
— もってぃさんって「これやったらアレにつながるんじゃないか..?!」と仮説をうむのがすごくお上手だなと思っています。コンピテンシーマップはどういうタイミングでやろう!と思ったんですか?
転職がきっかけではあります笑
1on1して皆さんを知っていくんだけど、すぐには情報は集まらないし、心を開いてもらえるかどうかもわからないしなあ笑、というのもありました。
— 改めてすごいです..!
私、フリースタイルで話すのが苦手なので、フォーマットを作りたがりなんです。
— もってぃさんが…ですか!?(もってぃさんが人当たりよすぎてにわかには信じられない様子)
です笑
なので、入社してすぐにいろんな部署の方とたくさん1on1させていただいたときも、アイスもブレイクしたいし、話の糸口も欲しいし、そうだー自己紹介にツッコミいれようーみたいな計画を立ててました!笑
だいたい私の発明は、「自分のトークをどう補うか」が発端ですね笑
— 意外でした..!アドリブお上手に見えてました!ご自身の求めるレベルではないということなのですね。
以前のキャリアで営業やCSも経験したのですが、アドリブが苦手すぎてしばしば心が折れました笑
例えお客様が怒ってらっしゃっても、心が折れてちゃダメなので… 私には不向きだと思いました…。
— たしかに、同じ「人のことを知る」職業ではありながらも、マネージャーやUXリサーチャーではお客様に怒られることはあまりないですもんね。
あまりないですね、ありがたいことに..
— 話はかわりますが、もってぃさんは毎週デザイナー1人ひとりと30分1on1を実施されていますよね。もってぃさんは1on1を大事にされていることを普段から感じるのですが、とはいえプロダクトデザイナーは総勢8名(うち1名がマネージャーのもってぃさん)と中規模になってきました。今は1人ひとり十分に時間はとれていますでしょうか?
ちょっとね、足りなくなっているのを反省しているところです。
私自身のマネージャー業務以外の兼務も重なって多忙になってしまって、定例ミーティングに出席できない時期もありましたし..。
— いえいえ!むしろお忙しい中いつもありがとうございます。デザイナーと接する中で意識していることは何かありますか?
とにかく「いつでも話しかけていい人」と思われるようにしていますね。
一番よくないのは、やばいときにすぐに相談できない状況だと思います。
いつもギャグで「やばくなったらすぐ左手あげてくださいね!!」とか言ってますけども笑、これがちゃんと実現できる環境をつくるということを一番大事にしたいと思っています。
あとは、はりつめた空気にしたくないですね。気軽に話しかけられる系の人だと思われたい!
— ひしひしと感じます!笑 メンバーである私個人としても、どのぐらいになったらもってぃさんに相談しよう?のハードルが、2月当初と10月現在ではかなりハードル下がったと感じてます。
ほんとですか!?嬉しいです、一番嬉しいです!
それこそ、20年くらい前に初めてマネージャーをやってたとき、すごい眉間にシワよってたらしいんですよ笑
メンバーの人と「今話しかけていいですか(コッソリ…)」「5分待って。(バッサリ)」みたいなことやってて。今思いだすともう自分に失望するんです。話しかけづらいというのはマネージャーとしてよくないことだと思ってます。
— えええ、そんな過去があったんですね!?今のもってぃさんとは真逆に感じるのですが、転換期になったのはいつ頃なのですか?
マネージャー3年生の頃に、チーム内で人間関係の揉め事が起きてしまって…。これは私のミスなんですよ。揉め事の発端になってしまった人の行動を把握できてなかったし、被害を受けていた人たちも私に言いたかったけど言えなかった。
キャッチできないと、こんな悲しいことが起こる…。こんなに重症化してしまう…。そのときは、関係者全員と1on1を何度もして、関係者全員で集まって話し合って、を繰り返して…。
私が退職するときにそのチームのメンバーたちに泣いて見送られちゃいまして。あの揉め事を解消してくれた人、と恩義を感じてくださったと思うのですが、ありがたいとは思いつつ、私としては「恩義じゃないのよ!私がちゃんとしてたら起きてない事件なのよ!」と。マッチポンプみたいですよね笑
その場の言いやすい環境があれば、火なんて起きなかったんですよね。「5分待って」じゃないんですよ、そう言われたらもう話しかけないよね..笑
— もってぃさんみたいな素晴らしい人にどうやったらなれるのかなあと思う日があるのですが、何も最初から完璧だったわけではなかったのですね。
卒業生と飲みにいくと「めちゃくちゃ勉強になったんだけどあんな言い方じゃなくて良かったよねー」「ごめんて〜!」みたいな会話があります。笑
— でもいいですね!今でもご交流があって仲良しなのですね!
— そういえば、デザインマネージャーさんってそもそも国内にそこまで人数いらっしゃらないですよね。
デザマネのお茶会みたいなのがあるんですが、みんな現場に戻りたいっていってるんですよね。
エンジニアもそうだと思うんですが、好き好んでマネジメントやりたい人あんまりいないですよね笑
— もってぃさんはプレイヤーになりたいことってないんですか..?!
ミドルマネジメント好きですよ!
あと、私は副業でプレイヤーとして手を動かす機会があるので本業でマネジメントするのは大丈夫です笑
カミナシでは私もプレイヤーとしてリサーチやデザインすることもあるので。
— そう考えると、もってぃさんフルスタックですね..!
でも世のマネージャーたちを見ると、ぜーんぶやっている人は大勢いるのでね。
— そのうちの素晴らしいお一人ですね..!
いえいえそんな..!
カミナシのプロダクトデザイン組織の未来編
— 次のステップ、こういう組織にしていきたいという未来像はありますか?
各プロダクトにデザイナーがオーナーシップを持って推進していく、は引き続きやりたいとおもってます。
ただ今カミナシはマルチプロダクト化が進んでいますよね。なので、カミナシ全域のシナジーを考えるデザイナーもいていいなと思っていて。
そこにむけての探索って別じゃないですか。そういうリサーチやデザインができる横断的な機能があるといいなと思っています。
あともう1つ、エンジニアリングとの接続ですね。みんなが幸せになる働き方ができる俯瞰部隊がいるといいな、と妄想してます。
— その部隊があるとめっちゃ助かりますね。両方とも、プロダクト単体のオーナーシップもちながら片手間で考えるには厳しくなってきましたよね。
俯瞰部隊に質問しにいけばすぐ解決して、自分が担当するプロダクトに専念できる、のようにしたいなと思っています。
だからできれば専任にしたい…
— すごく、すごく助かります・・・!今正直カオスですもんね・・・!
長男生まれた後に五つ子生まれたみたいなカオスっぷりがありますからね笑 長男もまだ小学生ぐらい笑
— その例え、本当すぎます笑 その子たちの成長を支える組織になっていきたいですね!私もそのうちの1メンバーとして貢献していきたいと思います。
よろしくおねがいします!
— 最後に一言お願いします!
みんなのおかげで私は成り立っております!!!
あとは、ずっと言い続けているモットーとして「どこに行っても食べていけるデザイナーになってほしい」と思っています。「あなたの単価があがるにはどうしたら..」なんて生々しい話もすることがあります。デザイナーの市場価値も年々変わってますしね。
— そういった目線で環境づくりをしてくれていること、いつも感謝しています。ありがとうございます!
・・・
以上、プロダクトデザインマネージャーのもってぃさんを紹介いたしました!
教育評価学や人間中心設計などアカデミックな知識も豊富 かつ「目の前の人を知る」ことを大事にしてらっしゃるその素晴らしさはもちろん、日頃のコミュニケーションも非常にチャーミングで、場をぱっと明るくしてくださいます。インタビュイーの私もとても楽しく、悩めるときはもってぃさんに相談しながらデザイン活動ができています!
カミナシでは、シニアプロダクトデザイナーを募集しております!
ご興味ある方、カジュアル面談からぜひよろしくよろしくお願いします!