カミナシが新たに送り出す SaaS「カミナシ 従業員」を手掛ける PM とエンジニア 新規プロダクト作りにおける協働スタイルとは
今回は、カミナシが夏に正式リリースした「カミナシ 従業員」を担当しているプロダクトマネージャーの田辺 @sei_tana(以後 be) とソフトウェアエンジニアの内田 @timtoronto634_a2 (以後 a2) に、PM と Engineer がどう協働してプロダクトを作っているかというお話を聞かせていただきました。
ーー 本日はよろしくお願いします! まずはお二人の経歴を簡単に教えてください。
be:新潟の金融機関で融資や債権回収、営業の業務ののち東京に引っ越して機関システムのリプレース案件の PM 業務に携わりました。やがてリクルートに転職して営業企画や経営戦略に関わりつつ商品企画の商品企画担当、その後スタートアップに転職してバーティカル SaaS の PM を担当し、 カミナシは今年の 4 月に入社しました。
▼入社エントリー
a2:文系の大学で英語や開発経済学を学んでいてイギリスやカナダに留学したら、そこでプログラミングに触れてコンピュータサイエンスを学び、大学院で画像系機械学習の研究に取り組んで、インターンでは AI コンサルティングの企業でコードを書いたりお客さんと話したりしました。新卒で freee でソフトウェアエンジニアに2年従事した後、自分はカミナシには去年の5月に入社しました。
▼入社エントリー
a2:ちなみにちょうど入社 500 日目なんですよね。
ーー なんと、おめでとうございます!
a2:ありがとうございます、会社からちょっとしたお祝いもしてもらえました。(笑)
ーー 現在お二人が担当されているプロダクトを教えてください。
be:私たちが作ったノンデスクワーカーのためのプロダクト「カミナシ 従業員」のコアコンピタンスは多国籍の従業員を採用している企業や現場向けのオールインワンサービスというところです。日本語含めて現在 14 ヶ国語対応し、 1 対マス、多数対多数の自動翻訳チャット機能を持っています。
▼二人が担当しているプロダクト
書類関係をデジタル化でき、給与明細の配布もできます。雇用契約なども将来的に対応するので、現場の紙からの解放を実現できるよう取り組んでいます。
ーー プロジェクトへのアサインはそれぞれどのぐらいの状況からでしたか?
a2:入社した直後はカミナシレポートの開発を担当していました。そのあと 2023 年の 7 月から、社長の諸岡(@kaminashi_ceo)をはじめ、企画メンバーが先行して探索を進めていたこのチームに合流しました。
be:私が参加したタイミングは丁度このプロダクトのベータ版が出る頃で、オンボーディング後そのまま合流ですね。
ーー プロジェクトはどういう流れで進行してきましたか?
a2:合流が早かったのが私なので私から話すと、2023 年の 1 月ぐらいからプロジェクトが動いていたと聞いています。私が合流した 7 月のタイミングでは作るものはそこそこ決まっていて、仮説もある程度定まっていました。作りたい機能は大きく 7、8 つぐらいリストアップされておりそのうち 3 つぐらいを作って 12 月ぐらいまでにベータ版をリリースしようという流れでした。
ただ私やチームがしっかり課題を理解できていなかったり課題解決に確信ができていなかったのもあって、 7〜8 月は現場に訪問したりして課題感をキャッチアップして行きました。
プロトタイプを作ってお客さんに見せていこうということで、コードは 7 月中旬から書き始めました。トップページだけしかないものだとか、紙芝居みたいなものをお客さんが操作できるようなものだとかいくつか開発しました。現在はこういう場合はコーディングしたものではなく Figma のプロトタイプ機能を使うようになっていますね。
その後 10 月ぐらいからプロトタイプ用のコードは捨てて、ベータ版の開発を開始しました。 12 月ぐらいまでにといっていましたが、実際にベータ版がリリースできたのは先ほど be さんがおっしゃったように今年の 4 月でしたので、少し時間がかかりましたね。
ーー それは開発の難易度が高かったということでしょうか?
a2:というよりか、初期はエンジニアサイドとビジネスサイドで期待値がずれていたのが原因だったかと思います。
技術検証と仮説検証の両方をやるミッションがあって、前者は実装に時間のかかる技術を検証対象として選択してしまったこと、後者は当時は Figma をあまり活用できていなかったので今では Figma で事足りる検証をアプリ実装で検証を行ったことで時間がかかってしまったと認識しています。
さらに開発をしている間に他にも色々なアイデアが出てきて、これは実装できるか?深掘りするためのプロトタイプが作れるか?といった追加の仮説検証、技術検証もなかなか苦労したポイントでした。
ーー なるほどなかなか大変でしたね。現在はこの辺りは改善されているのでしょうか?
a2:はい、この辺りは be さんが合流していただいてからかなり受け止めてくださっています。優先順位付けもしてくださっています。
be:2024 年 5 月に合流し正式版を 8 月末にリリースすることが決まっていたので、どこまで削ってどこまでできるか足元を調整し続けました。あとアカウントの基盤も並行して作ってましたね。
a2:そうですね、プロダクト開発だけでなく、カミナシのこれからを支えるアカウント基盤システム開発との足並みを揃えながらの開発でした。私たちのプロダクト以後にリリースされるプロダクトは認証基盤がすでに出来ているのでここまで開発に時間がかからないでしょう。
be:アカウント基盤は私たちが育てたと言っても過言ではないですね。
a2:ですね。(笑)
ーー 今回のプロダクトで使用する技術はどう選定しましたか?
a2:フロントエンドは TypeScript です。ネイティブアプリか Web にするか、メリットデメリットをリストアップし、トレードオフを検討した上で今回は Web でリリースしました。
ちなみにカミナシの主力製品のカミナシレポートも iOS / iPadOS 用のアプリを提供していましたが、最近 Web 版をリリースしました。
そしてバックエンドは Go ですね。会社にノウハウが溜まっているのと、私も好きなので。(笑)
オーナーシップを持って中長期見据えてプロダクトを作っていきたいので、置きに行ったところと、挑戦したところのバランスはいい感じで作れたと思っています。
be:技術周りはすでに決まっていたのと違和感はなかったので、自分からは特に技術に対してのリクエストはありませんでした。
ーー 開発サイクルについて、どういう頻度でリリースを行なっていますか?
a2:ほぼ毎日か、少なくとも 2、3 日に一回はリリースしていると思います。変更があれば全部出すみたいな。
be:チャット機能みたいな大きな機能が入るようなメジャーアップデートは事前にお客さんにご案内して、みたいなこともありますね。
a2:はい、そのあたりはリリースフラグで管理して、コードはプロダクションに乗っているみたいな感じにしていますね。
ーー チームでのコミュニケーションの頻度はどれぐらいですか?またプロジェクトの開始時から今に至るまで変化はありましたか?
a2:同期的なコミュニケーションを少なくともデイリースクラム、朝会をやっていて、非同期だと Slack でエンジニアが誰かしらとコミュニケーションしている感じですね。
be:自分もデイリースクラムに意図的に参加するようにしました。かつてはエンジニア以外が出張やヒアリングで朝会にいないことも多かったので、ここは意識的に取り組みました。
それと月一でオフサイトをしていて、オフラインでみんなで会うようにしているので、雑談が増えたりチームに笑顔が増えた気がします。
ーー よく be さんは会社にいらっしゃいますよね?
be:いや多分たまたまよく会うだけですよ(笑)、出社は週一二ぐらいです。
でも他のチームの人とよく話すので、比較的私は出社が多い方で、基本的にはリモートの人が多いですね。
ーー お互いがコミュニケーションを取る上で意識していることはありますか?
be:何かしら依頼をすることが多い立場なのでありがとうを伝えるようにしています。ことを進めるにあたって人に向き合うというのを大切にしています。
a2:自分は合理的かや論理で動くので意識して明るめに伝えないとなと思っています。それと前提の共有を忘れがちなので相手視点で考えてから言葉を変えるというのをやっていますね。
ーー またデザイナーやセールス、CS といった他ロールのメンバーへのコミュニケーションで意識していることはありますか?
be:プロダクト開発チーム以外には今 a2 が言った前提条件、背景を細かく伝えるというのをより意識しないとと思っています。
やっぱり開発の前に設計があるだとか、リリースの前にテストをしっかりやらないといけないとか、その辺りは PM としてしっかり伝えないといけないですね。
a2:ロールが違う人にも伝わる言葉で話したいので、自分は質問を受けた時はどうしてその質問が出たんだろうというのをしっかり考えてから回答することを意識しています。
ーー お互いへの要望をお聞きしたいです。 a2 さん的にエンジニアとして、PM は何がわかっているとエンジニアは仕事がやりやすいと思いますか?
be:遠慮しないで言ってくれよ〜(笑)。
a2:いや〜今はほんと助かってます、これと言った要望は特になくて、とても楽になりましたね。
ーー PM としてはどう思いますか?
be:そうですねー…機能開発だけじゃなくて技術負債とかへの配慮は意識すると良いのかなと思います。
a2:それめちゃめちゃ助かっています。「これ劣後させてもいいんじゃないですか」という提案に「確かにね〜」が返ってくるのはほんとやりやすいです。
be:いやいや。でも PM は仕様を書くんじゃなくて仕様を捨てるのが仕事ですから。
ーー 逆に be さん的にエンジニアは何がわかっていると PM は仕事がやりやすいと思いますか?
be:これは a2 というより全般的な話ですが、今売り上げを意識して気合を入れていかないといけないタイミングでもあるので全員でなくても EM は売り上げ計画を意識してもらうだとか、事業の進捗や何が課題かとかチームで意識を持ってもらえると助かるかなと思います。事業会議に EM も出てくれたりしています。
あとやっぱり PM は何でも屋で、とりあえずあいつ入れておこうみたいな、自分のキャラクター的にも頼ってくれるのは嬉しいんですが、でもたまに、優しく助けてって思ってます。(笑)
ーー 将来、be さんはこれからプロダクトをどう成長させていきたいですか?
be:私はノンデスクワーカーかつ非正規向けに長くプロダクトを作ってきたので、ノンデスクワーカーの方々が働くことをポジティブに捉えてもらえることができるようなプロダクトを作っていきたいですね。
そして私たちのプロダクトはカミナシの売上の構成要素に成り得るパワーがあると思っていて、インパクトを出していきたいですね。
ーー a2 さん的にはどう言う風にプロダクトを作っていきたいですか?
a2:カミナシはセールスが強いと思うので、なかなか IT が届きにくいところまで彼らに届けてもらって、それに応えられるようしっかり課題を解決できるプロダクトを作っていきたいです。
それと開発をスケールさせて加速させたいですね。チームメンバーを増やしても開発速度が落ちない開発をしていきたいです。
あとは個人的にですが自分のバックグラウンド的にも AI を活用していきたいですね。
ーー 最後にこんな人と働いてみたいなと言う方がいたら教えてください。
be:普段 IT業界 にいると見聞きしない、アナログな業務や業界を変えたいと思っている人、お客さんに会うことが苦でない人はカミナシの PM に向いていると思いますね。
a2:自分はエッジが効いた人がいてもいいのかもな〜と思ったりもしています。温和でいいひとが多いので、波風を立てていって速度を上げてくれるような人と働いてみたいな〜と思ってみたりしますね。
ーー 本日はありがとうございました!
(写真・インタビュー:カミナシ プロダクトデザイナー 髙橋伸弥)
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