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100人の壁をどうやって乗り越えた?パルスサーベイを駆使した組織改善の秘訣をセルソースさんに聞いてみた。

こんにちは、カミナシHRの松岡です!
今回は再生医療関連事業事業のセルソースさん、そして法人向けオンライン対人支援サービス事業のSmart相談室さんとの「コラボ記事」をお送りします。

お互いに気になることをインタビューし合うこの企画、私はセルソースの細田さんに「組織の”100人の壁”に対する打ち手としての組織サーベイの活用」について、伺いました。 

その他の記事では、カミナシはMVV浸透の取り組みについて、Smart相談室さんはnote運用術について語っています。こちらもあわせてご覧ください!

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セルソースさんは現在従業員数約140名。事業・組織の急成長に伴い一度はいわゆる「100人の壁」にぶつかりますが、そこから様々な打ち手を講じ見事に状況を好転させ、今では安定した組織成長を実現しています。
その奮闘のリアルな軌跡を、Smart 相談室 三浦さんと共に根掘り葉掘り聞きました。成長企業の経営者・HR必読の内容になっていますので、ぜひご一読ください! 

細田 薫|Kaoru Hosoda
1987年生まれ、東京都出身。大学を卒業後、住友商事株式会社に入社。世界30ヶ国以上を回り、ブラジルとウクライナでは大型M&Aを敢行。買収よりも買収後のPMIを重視し、両国合計で5年間現地に滞在。「社員が幸せな会社でなければ、社会に貢献する会社にはなれない」という自身の信念を裙本と共有出来ると確信し、2022年にセルソース株式会社へ入社。現在は執行役員 経営企画本部長としてDX・海外・PR・社内企画など多岐に渡る分野をカバーしながら、ヒト(Human)を起点とした新時代の経営スタイル実現に向けて取り組んでいる。

セルソースがぶつかった「100人の壁」。その時何が起こった?

――まずは、セルソースさんの組織拡大の変遷を教えてください。

細田:売上高・営業利益の急成長を背景に組織も急拡大していて、現在は140名規模になっています。増加ペースの強弱はあるんですが、右肩上がりで増えていっていますね。
採用ペースをコントロールをしていた時期もありましたが、足元では採用ペースがグッと上がっており、ここ3年で人員数はほぼ倍増しています。

――その過程で100人も越えて来ていると思うのですが、いわゆる100人の壁と呼ばれるものはあったのでしょうか?

細田:ありましたね。私がセルソースに入社した当時が90名規模だったんですが、事業特性上、まず製造部隊の30名とその他の組織60名という区分が生まれてしまいます。更にオフィスフロアや拠点、働き方も違うこともあり、それ以上の分断がある感じがありました。なので、一般的に150名と言われている人間関係の認知限界(ダンバー数)が、もう90名規模で来ていた感覚がありました。

――具体的には、どのような課題が発生しましたか?

細田:大きく分けると4つの課題が発生しました(画像参照)。これらは独立した事象というより、コミュニケーションの分断を起点に、同時多発的、相互作用的に発生していたように思います。
それまではコミュニケーションの密度が高く、文脈を含めて認識を共有できていた所から、急な成長により組織の階層や社員の属性・価値観の多様化が進み、「なんのために働いているか?」という働く目的の定義を各々が簡単にできなくなっていきました。

――課題に対して、どのように対策を講じたのですか?

細田:全てを解決する銀の弾丸はないので、1つ1つの課題の原因を分析し、対策を講じていきました。例えば「”In”のレベルを上げる」では、面接のガイドラインを整備したり、面接の内容をフィードバックする仕組みを導入することで、選考における基準のブレを回避し、多様性が増す中でも会社として揃えたい性質や能力については揃えられる工夫を行いました。

「育成のスピードを上げる」では、オンボーディングプログラムを再設計し、最初の90日間で「安心して全力でアクセルを踏める」という”心理的安全性”を入社者が持てている状態をゴールに、業務だけでなく周囲との関係性の構築も重視したプログラムにしました。

関係性構築のためのプログラムの一例として、「ヨコツナ」と題するランチ企画があります。入社1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目の人が会社補助で一緒に食事にいくというもので、3ヶ月間毎月「ヨコツナ」に参加する中で、2ヶ月先輩、1ヶ月先輩、同期、1ヶ月後輩、2ヶ月後輩、合計5ヶ月分のメンバーと話したことがある状態をつくれる仕組みになっています。

――ヨコツナ、非常に面白いですね。他には、Wevox(組織サーベイ)を基軸にした課題解決を行っていますが、これについて教えてもらえますか?

細田:組織課題は曖昧性が高く、まずは事象を正しく捉え、組織への解像度を上げる必要があると思い組織サーベイを導入しました。試行錯誤する中で自社流の活用方法を確立し、現在では組織サーベイを起点とした組織課題の特定や改善アクションの実行が各組織に浸透するところまで進んできました。

――是非、組織サーベイの運用について詳しく教えてください!

 セルソース流の組織サーベイ活用術の全貌

――まずは、どのようにサーベイを選定したのかを教えてください

細田:組織課題の特定と具体的な解決アクションの策定にこだわりたかったので、比較的ライトで高頻度に実施できる、いわゆるパルスサーベイのWevoxを選びました。もっと大掛かりで年1回〜数回実施をするセンサスサーベイというものもありますが、ベンチャーのスピード感の中では時間軸が長すぎて、次の回答までに人が入れ替わっていたり、改善サイクルをスピーディに回していけないと判断しました。

――運用を設計するなかで特に意思を込めた部分はどこですか?

細田:記名式にするということです。記名式にする理由は大きく分けて二つあります。1つは、「最低限の規律を持たせるため」。匿名にすると、回答者側が完全なリスクフリーになってしまうので、意味のない感情的なコメントなどが溢れやすくなるためです。
もう一つは、「対話をするため」です。組織課題はマクロなものとミクロなものに分かれますが、匿名にしてしまうとミクロの課題解決を放棄することになります。我々がミクロな課題に向き合うための対話を行うには、記名式にする必要がありました。

ただし、記名データにアクセスできる人は制限し、人事を管掌する経営企画本部長と人事部長のみとしています。自身の回答が適切に扱われているという安心感が一度でも揺らいでしまうと致命的なので、ここは厳重に管理しています。

三浦:回答を集めるのが大変なイメージがあります。回答率はどのくらいなんですか?

細田:実はここも運用に強い意思を持っているポイントで、大変ではありますが全員回答にこだわっています。毎回の回答率が異なるということは、集計の母数が異なるということです。

サーベイは前後の変化を見ることが大切なので、スコアの前提条件が変わってしまわないよう、全回答にこだわっています。回答期限には泥臭くDMでリマインドをし、回答してくれたらきちんとお礼をします。


――とても地道な下地作りがあってはじめてサーベイが機能するんですね。大変勉強になります!サーベイ結果をもとにした課題解決のアクション策定はどのようにやっているのでしょうか?

※データは実際のものではなくダミーです

細田:総合点・標準偏差の2つの軸で4象限を作り、メンバーのスコアをプロットして状態を可視化しています(画像参照)。それぞれの象限ごとの状態の特徴と打ち手の方向性を類型化することで、議論やアクション策定に再現性を作っています。
その上で、スナップショットではなく、変遷を追っていくことがすごく大切で、紙芝居のように各月のデータを連続して見ていき、どのゾーンからどのゾーンに動いているのかというマクロトレンドを抑えた上で、個別の課題について議論することで、適切な打ち手が検討できると考えています。

――…すごい。ここまで体系的にサーベイ結果を整理している会社を初めてみました!運用してみて、気づきがあったことはありますか?

細田:サーベイは過去の状態を振り返るものだと思っていたのですが、連続性を持って傾向を見ることで「未来の予測」ができるということが大きな気づきでした。これにより、未来に大きくなるリスクがある課題について、先手先手でアクションを打っていくことができるようになりました。
サーベイの運用は昨年から始めていますが、もっと早いタイミングで導入すれば良かったと思っています。組織の課題が顕在化する前に導入すれば、先回りで組織課題を潰せるかもしれません。

―― カミナシにもすみやかに組織サーベイを入れることを決意しました。笑 

三浦:組織サーベイ利用で工夫していることはありますか?

※データは実際のものではなくダミーです

細田:通常の設問に加えてカスタムサーベイ(個別でカスタマイズした設問に同時に回答してもらうこと)で、組織の「つながり」の可視化を行っています。具体的には、「①最も繋がっていると思う社員を5名挙げてください」「② ①で選んだ人を除き、他部署で繋がっていると思う社員を5名挙げてください」 という質問に回答してもらい、その結果をグラフで可視化しています(画像参照)。これにより、組織のハブになっているような人材と、一方で繋がりが薄れてしまっている人材を特定することができます。
ハブになっている人材は、直接的な事業貢献とは別の部分でも組織に価値を提供していると言えるため、きちんとその貢献を認識し報いていくことができます。

一方、繋がりが薄れてしまっている人材には、その原因を特定し、繋がりをつくる工夫を行っています。例えば、様々なライフスタイルに合わせて、社員交流の機会を朝ごはん会、ランチ会など色々な場所や時間帯に分散して企画することで、参加しやすいものを見つけてもらう仕組みなどを用意しています。

組織・人という、曖昧性が高く定量化が難しいテーマであっても、組織サーベイを起点に分析の切り口を工夫すれば、組織の状態を正しく把握し、必要な打ち手を打てることがわかってきたのは大きな収穫だと思っています。

編集後記

セルソースさんは「いわゆる100人の壁」にぶつかりながらも、課題への向き合い方と、改善のためのアクションの落とし込みが徹底していて、課題を乗り越えて急成長できている理由がよくわかりました。特に組織サーベイ運用においては、非常にユニークで実践的な運用手法を確立しており、これから100人の壁を迎える全ての企業にとって非常に参考になる取り組みをシェアしていただくことができました!
カミナシもご多分にもれず100人規模の組織になることが目前に迫っているので、早速様々取り組みを取り入れさせていただきます!


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