「カスタマーサクセスは総合格闘技」。日本一を目指すカミナシのカスタマーサクセスの組織づくりとは
こんにちは、カミナシ編集部です!
今回は、外資系IT大手企業や複数のスタートアップを経て、今年3月に「カスタマーサクセス」としてジョインした宮城のインタビューをお届けします。
ここ数年、時代が大きく変化する中でSaaSをはじめとするサブスク型ビジネスが広がる中、カスタマーサクセスは顧客の成功体験を支援する重要なポジションとして注目を集めています。
カスタマーサクセスの組織づくりを手がける宮城に、カミナシにおけるカスタマーサクセスの役割、そしてこれから宮城率いるカスタマーサクセスチームが目指すビジョンまで深く掘り下げていきます!
外資系IT大手企業からスタートアップへ
――宮城さんはカミナシに入る前は、外資系IT大手企業を経てスタートアップを数社経験されたと聞いています。一体どんなキャリアを歩んできたのでしょうか?
宮城:僕が就活をしていた時期はいろいろな出来事がありました。ちょうどiPhoneがはやり始めた時期でしたし、何より3.11が起きた年でもありました。人々が混乱し、ありとあらゆるインフラがストップする中「今まで当たり前に使っていたシステムって、いったいどんな仕組みで動いていたのだろう?」と疑問を持ったのです。
僕自身、卒業論文は地元である“沖縄県の焼き物”について書いたくらい、超がつくほどの文系でしたが、そのことがきっかけでITやシステムに興味を持つようになりました。システムの中身がどんな仕組みで動いているのか知りたい――。そんな気持ちから、新卒では外資系IT企業である日本ヒューレット・パッカードに入社を決めました。
▲カスタマーサクセス・宮城徹也
――なるほど、そういった理由から日本ヒューレット・パッカードに入社されたんですね。当時はどんな仕事をしていたんですか?
宮城:当時は営業でした。大手電力会社や通信会社など、インフラ系のクライアントをメインで担当しており、スケールの大きな仕事にチャレンジすることができました。社会インフラに携わり、世の中を良くしていけるという実感もありましたし、やりがいは十分。
しかし、あるとき担当した数十億円規模のプロジェクトにおいて、納品したシステムがあまりにイケていないと感じたのです。入社から5年が経過し、トップセールスとして表彰されたタイミングでもありました。
どこかやり切った感と、このままここに居続けるより、外に出て自分の力を試したい。そう感じるようになったんです。
そこからは、大手企業ではなくスタートアップで、なおかつ社会インフラで世の中をより良くしていける会社を……と探し、2度転職をしています。
2社目は会計ソフトを提供するfreeeで、このとき初めてカスタマーサクセスを担当しました。3年間勤め、カスタマーサクセスの面白さはこのときに学びました。導入コンサル、営業、データ分析、マーケなど、顧客起点でビジネスのあらゆる着眼点をつくれることは何より楽しかったです。
また、社内のあらゆる部署の人と関わるのも、新鮮でした。
開発にどんなプロダクトを期待するのか、PRでどんな事例を出したらいいのか、どう計上日を作れば、PLにインパクト出せるか――。そんな風に、お客様にいろんな価値を提供しながら、 社内と協業して仕事をしていました。
ある程度面白さが分かってきたとき、もっと事業全般に広く携わりたいという思いから、3社目の物流系スタートアップへ転職。そこでは、事業責任者として新しくSaaSを作ることになり、プロダクトの名前からコンセプト、ビジネス体制の構築まで、本当に一通りやらせてもらいました。
最終面接では別のスタートアップへの入社を決めていた
――大手もスタートアップもどちらも経験した宮城さん。カミナシに転職したきっかけは何だったのでしょう?
宮城:ちょっと暗い話になるのですが……。実は僕、昨年脳梗塞になったんです。当時勤めていた物流系スタートアップではビジネス体制を一から構築していくような事業全体に関わる仕事をしていました。とてもやりがいがあって、仕事に熱中していましたね。
でも今思うと、いろいろ自分に負荷をかけすぎていたのかもしれません。それがきっかけとなり、仕事への向き合い方や働き方を見直したいと考えるようになったんです。
そんなときに、VCのCoral Capitalが運営する「Coral Community」で偶然カミナシの名前を知り、第一印象で面白そうな会社だと感じました。
まずは副業という形で2020年10月にジョイン。
もともと3社目のスタートアップでは物流という特定の業界に向けたプロダクトを作っていたので、業界に縛られずあらゆるクライアントへアプローチできるところも魅力に感じましたね。
それで、数ヶ月間副業としてやってみて、正社員として働いてみるのも面白いかもしれないと面接を受けることにしました。
――最初は副業からのスタートだったんですね!その後、入社に至るまで、一体どんなストーリーがあったのでしょう?
宮城:最終面接までいきましたが、実はその時点ではカミナシとは違うスタートアップに入ることを決断していました。それも99%と言っても良いくらい、強く心に決めていたんです。
そのことを報告しようと最終面接の場でCEOの諸岡さん、COOの河内さんにその旨をお伝えしたところ、かなり激しくお二人が慌ててくれまして。「それはダメだよ!」と(笑)。
その面接の場で、嘘偽りのないコミュニケーションを取ってくれ、カミナシの強みだけでなく、弱いところ、課題に感じているところをすべて正直に話してくれたのです。普通、面接の場って綺麗事しか言わないじゃないですか。でもカミナシは違いました。
「今うちの会社に、宮城さんがジョインしなければ、困るんだ」というのを切実に話してくれて。それで、自分を求めてくれる会社はそうそうないなと感じ、当時の決意を180度曲げて、今年3月にカミナシに入社することになりました。
――かなりドラマティックですね(笑)入社後は組織の雰囲気をどう感じていますか?
宮城:今の組織を見ていても感じるのですが、カミナシは精神年齢が高い方が多い印象です。
話をしても、いったん受け止めてくれる人ばかりで、心理的安全性の高い人が集まっています。会社によっては、言いたいことも言えず、いったん飲み込む…。なんてことかもあると思いますが、カミナシにいたってはそんな雰囲気は一切ありません。
実際、カミナシに入ってからパタリとSlackのDMを使わなくなりましたね。
今までなら、相談ごとがある場合、まずは個別にDMで一度ネゴして……と段階を踏んでいましたが、カミナシはそのネゴですら、オープンの場でやっていて(笑)。
制度としてでなく、当たり前のようにオープンなカルチャーなので、そこも魅力ですね。
カスタマーサクセスは“総合格闘技”
――たしかに、ウィークポイントをさらけ出してくれる企業ってそうそうないですよね。現在、カミナシのカスタマーサクセスはどんな課題がありますか?
宮城:僕が副業で入った昨秋のタイミングでは、まだカミナシのカスタマーサクセス部門は発足したばかりという状況でした。メンバーも2名のみで経験者がいなかったため、何をどこから始めていいのか分からないというゼロからのスタート。
ですので、「そもそもカスタマーサクセスとは?」といった概念の浸透から始めたのち、オンボーディング⇒リテンション⇒カスタマーサポートという3つのチームに分けて、ごりごりと仕組み化を進めていきました。
しかし、これで喜んではいられません。ここまでは最低限のラインです。
今後は、たとえばコミュニティをつくってお客様のロイヤリティをあげたり、カスタマーサポートの手段をチャットだけでなく電話にまで広げたり、またそれを実行する人員の確保に向けて動いたりと、課題はまだまだ沢山あると思っています。
――では、今はカスタマーサクセスの組織づくりの真っただ中にあるということですね。宮城さんの思うカミナシのカスタマーサクセスのやりがいって何ですか?
宮城:まずは、「カミナシならでは」ではなく、カスタマーサクセスそもそもの仕事の面白さから説明させてください。
これは大きく分けて2つあると思っています。
一つ目は、お客様にいかに自走してもらうかを考えられること。僕らが懇切丁寧に教えることで、結果としてお客様が自ら進んでプロダクトを動かし、ハックしてくれる。そうしたお客様の成長を間近で見ることができるのは、この仕事ならではではないでしょうか。
二つ目は、他人を巻き込んで仕事ができること。カスタマーサクセスって、よく“総合格闘技”と言われるのですが、それは、自分で完結できることが少ないからなんです。プロダクトとかマーケティングとか、社内の人間を巻き込みながら協業できる点も魅力だと思います。
その中で、「カミナシならでは」のやりがいで言うと、一つは、今までiPadも触ったことがないようなお客様がターゲットなので、彼らが当たり前のようにデジタルツールを使い、「業務がとても楽になりました!」というお声をいただけること。これは、もともとExcelの得意な人が「会計ソフトを使って業務効率があがりました!」という成果よりも、ギャップが大きく、よろこびも段違いです。
次に、カミナシは“現場ドリブン”というバリューを掲げているので、カスタマーサクセスとエンジニアが一緒にお客様を訪問することが、やりがいに結びつきます。
良いフィードバックはもちろん、悪いフィードバックをいただく機会もありますが、生の声を収集し、それを社内で共有しながら、開発に活かすスピードの早さはカミナシならではだと思います。
また、エンジニアとセットで訪問するからこそ、お客様の課題の解像度が高いんです。現場へ行くという行為は、すべてのアクションのはじまり。
僕自身、現場ドリブンというビジョンにも大変共感しました。
――では、どんな方がカミナシのカスタマーサクセスに向いているのでしょうか?
宮城:大前提として、カミナシのバリューやミッションに共感できるかが大切だと思います。先にお話した通り、僕自身もそこに共感して入社を決めたうちの一人。その上で大事なことは3つあると思います。
一つ目は、顧客志向をいかに持てるかということ。
机上で分析だけしたいという人には向いていないかもしれません。お客様と対話し、いかにサクセスできるかにコミットできる人でないと結果として長続きしないのです。
次に、いろんな人と協業する仕事なので、まわりを頼れるかどうかが大切だと思います。
全部自分でやれるから、やっちゃう!というのではなく、社内のリソースを駆使して、お客様に向き合う。恥ずかしがったり、面倒だからと協業することを避けたりしていては、この仕事は成立しません。
最後に、カスタマーサクセスって気を付けないとお客様の数に沿って人員が増えがちな傾向にあるんです。お客様が増えたらから、カスタマーサクセスのメンバーを増やすという人海戦術を続けていると、人件費が増えてしまいます。
そうではなく、人海戦術にならないように仕組み化できる人が向いていると思います。自分ができるからいい!ではなく、自分ができるようになったらから、省力化して誰でもできるように仕組み化しよう!と考えられる人には最適な仕事だと思いますよ。
日本一のカスタマーサクセスチームを作りたい
――周囲を頼るというのは、大切な視点ですね。ちなみに、一緒に働くメンバーはどんな人たちですか?
宮城:先ほども少しお話した通り、カミナシには精神年齢の高い方が多いです。発言しても、否定されることは、まずありません。
今こうしてたくさん話している僕ですが、実はもともと自己開示が得意なタイプではありませんでした。どちらかと言うと個人主義で、仕事においても自分でやった方が早いから自分でやっちゃえ!というタイプだったんです。「結果を出しているのであればいいだろ、むしろかっこいいだろ」くらいに思っていました。
しかし、freeeのときにマネジメントを経験した際、マネージャーである自分が自己開示しなくては、メンバーからも信用されないということに気づき、そこからは積極的に自己開示し、まわりを頼るようになったんです。
現在は、リモートワークが中心ですが、Slackでは頻繁にコミュニケーションが交わされ、真面目なものからちょっとした雑談まで、積極的に何でもつぶやいています(笑)。
▲とある日の宮城の個人チャンネル
――最後に、宮城さん自身の今後のビジョンをお聞かせください!
宮城:大げさでなく、本心なのですが、日本一のカスタマーサクセスチームをつくりたいと本気で思っています。「カミナシといえばカスタマーサクセス」、「カスタマーサクセスといえばカミナシ」と呼ばれるくらい、強い組織をつくりたいです。
僕は、営業からキャリアをスタートさせましたが、その後カスタマーサクセスを経験し、そのあと事業全般を見て、その後またカスタマーサクセスを担当している人間です。こういうキャリアの方ってあまりいないと思うんです。だからこそ、カスタマーサクセスと事業そのものをどう連動させられるかが、今後の僕自身のミッションだと思っています。
大変そうですが、やりがいも大きいと感じています。
仕事の面とは別でプライベートでは、出身が沖縄なので、いつか沖縄に学校をつくりたいとも考えています。沖縄の大学進学率は40%と決して高い数字ではありません。僕自身は高校卒業後、東京の大学へ進学し、いろんな人やモノに触れ世界が広がったと思っています。
ですので、チャレンジしたいけどできない、才能はあるのになんとなくダラダラしているという人に、そういった場を提供できたら素敵だなと考えています。何かしらの形で地元に貢献したいですよね。
――宮城さん、ありがとうございました!
Text: 眞田幸剛